そこそこホンネログ

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人はどれだけ自分の醜さを見せられるのか

 私はなろう小説を読んだことがない。読書は好きだった*1が、なろう小説の文体やタイトルの付け方がどうも好きではなく1ページ目で読む気が失せてしまう。

 だが小説は書いている。中学生の頃から書いてはいたが、連続してずっと書いているというわけではなく、大学時代に書いたり、最近よく書くよう*2になった。どこかに投稿しようと思って色々な投稿サイトを前から調べているのだが、小説かになろうの激戦ぷりはそこで知った。

 

 一日三千字をコンスタントにあげることができる人はどれだけいるだろう?十万字を一つの作品としてまとめ上げることができる人がどれだけいるだろう。

 

 少なくても私にはできない。仕事があるとかそういう問題じゃなく、できないのだ。私にはその力ない。毎日書いて、推敲して、投稿するということができない。毎日書かなくても、ストックを十万字作るというのもできなくはないだろうが、とても時間がかかってしまうし、難しい。今少しずつ長編を書いているが、それを完結させるのはいつになることやら。4か月かかってようやく一万五千字程度だ。これだって完結できるのかはわからない。長く書けば書くほど、後半になっていくほどにまとめ上げるのに難しくなっていくからだ。

 小説家になろうという投稿サイトはそれができる人間が集っているサイトだ。その文章の出来がどうという話ではなく、事実として出来る人が揃っている。

 

 そういう中で書籍化された作家もいる。前置きが長くなったが紹介したいのは書籍化されてプロになった人のなろうで連載されているエッセイである。

 

https://ncode.syosetu.com/n6611fn/

 

一応、本人の作品も貼っておく。

銀色のスナイパー (ぽにきゃんBOOKS)

銀色のスナイパー (ぽにきゃんBOOKS)

 

 

 

 これに意味があるかはわからない。印税もどうなってるか知らないし、もしかしたらなろうの小説リンクを貼った方がいいのかもしれない

 私はこの小説を読んだことがないから逆に失礼になってしまうかもしれない。

だけど、エッセイを読むと宣伝くらいはしたくなる。

 

 このエッセイは初めて自分の小説が書籍化されて、そしてその後打ち切りになった作家の感情が赤裸々に描かれている。

 商業デビューしたというプライドとそのあと人生の上手くいかなさ。人への嫉妬と憎しみと自責の感情が書き連ねてる。読んでいて胸が苦しい。

 人がもつ弱さの感情だけど、その醜さを惜しみなく書いてて、小説を書くことで生まれること感情だけど、それ以外をもっていないから書くしかないという心情がこれでもかという書かれている。

 全部を読んだわけじゃないけれど、苦しくても諦められなくて、書き続けるというのをずっとやっていて。4話くらいで結構きつくて、涙が出てしまった。

 これは上から目線の同情なのか、自分の中にある醜い感情を再起させるからなのかわからないけど、ただ読んでてひたすら苦しかった。

 何かの創り手は、天才と呼ばれる人はわからないけど、こういうプライドや嫉妬や憎しみは少しは抱いたことがあるんじゃないだろうか。そして人に嫌われたくないために、飲み込んだりしないだろうか。

 

 このエッセイは正直で赤裸々だ。直視しがたいほどに。

 このエッセイに書かれる著者は承認欲求にあふれ、虚栄心に満ち、愚かだ。

 しかし、このエッセイを書く姿勢が正直で真っすぐだった。

 

 今の時代誰しもが品行方正を求められ、外れた人は総叩きされる時代である。

 自らの愚かさを直視し、ここまで書くことができる人がいるだろうか。

 自分の愚かさを直視することはむずかしい。私は今でもできない。愚かなところは沢山ある。だがこのようには書けない。嘘は書くことはないだろうが、隠して見せないようにして、それなりに見られるようにする。

 著者の感情の奔流にのまれ、自分にはできないことに、その勇気に素晴らしいと思って紹介する。

 読んでて楽しいものではない。勧められるものではない。だが、生きた人、生きている人がそこにいるので、読んでみてほしい。

 救いか絶望か、エッセイに書かれるのは、自分の愚かさだけではない、たった一人著者を認めてくれる木島先生という人物が出てくる。そこで書かれる著者の慕う心が愛おしい。

 最新話の「もういちど木島先生に会いたい」読んで涙が出た。

 勝手ながらその心を大事に、大切にして、投げやりにならずに生きてほしいと、願った。

 愚かな善人気取りの独り言である。

 

 

*1:学生時代はよく読んでいたが、今では小説はあまり読んでいない

*2:私の人生の中で比較的という意味